(2022年4月より、旧「竹谷出版電子ジャーナル『教育への扉』」から名称変更いたしました。)
ISSN 2436-4959
GIGAスクールの先を見据えて
~ 情報活用能力を育てるために必要な課題とは ~
(寄稿:原稿)
磯部 征尊
愛知教育大学 創造科学系 技術教育講座 准教授
新潟県新潟市出身。兵庫教育大学大学院連合学校教育学研究科博士課程修了。博士(学校教育学)。新潟県内の公立小学校教諭,新潟大学教育学部附属新潟小学校教諭を経て2014年より現職。2018年より学校法人東海学園非常勤講師,2019年より名古屋商科大学非常勤講師。主著:『必須化!小学校のプログラミング学習』(学芸みらい社,単著)ほか。
1 情報活用能力を身に付けた子供とは?
文部科学省の「小学校段階におけるプログラミング教育の在り方について(議論の取りまとめ)」では,「『学ぶ』ことの意義と,これからの時代に求められる力の再確認」において,以下の答申を示している1)。
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(中略)子供たちが複雑な情報を読み解いて,解決すべき課題や解決の方向性を自ら見いだし,多様な他者と協働しながら自信を持って未来を創り出していくために必要な力を伸ばしていくことが求められる。また,その過程において,私たちの生活にますます身近なものとなっている情報技術を,受け身で捉えるのではなく,手段として効果的に活用していくことも求められる。 |
キーワードは,情報技術を受け身で捉えるのではなく,手段として効果的に活用していく力が求められている,ということである。従って,私は,情報活用能力とは,「自ら進んで学び,相手に分かりやすく伝える力」と平易に表現している(図1)。
図1 情報活用能力を育てるための3段階
図1を基に,情報活用能力を身に付けた子供に育てるための3段階を紹介したい。
初めに,各学級が「支持的な学級風土(以下,心地良い学級)」づくりを進めることは,当然大切なことである。その上で,一つ目の段階は,「気付く(知る)」段階である。具体的には,「心地良い学級」において,各授業者は,子供たちに複数の教科でタブレット端末を使う機会を設定する。子供たちには,「学習を進める上で,タブレットを活用した方が便利だ」,という気付きを持たせるのである。
二つ目の段階は,「分かる(出来る)」 段階 である。例えば,国語科の授業で,知らない言葉を調べるために,タブレットを活用した授業を経験した子供が,社会科や総合的な学習の時間等,他の教科でもタブレットを活用する機会を設定する。子供は,「国語科で使ったタブレットの機能が,ここでも使える」,ということがわかる。二つ目の段階を経た子供たちは,「デジタルを進んで活用しようとする力」が向上した姿として捉えることが出来る。
三つ目の段階は,「デジタルを学びのツールの一つとして身に付ける」段階である。ポイントは,子供たちに,「分かる(出来る)」実感を毎日継続させていくことである。子供たちは,少しずつ,自らの意思で「僕は,発表会に向けて,タブレットを使って説明します」,というように,相手に分かりやすく伝えるには,どのような手段を用いれば良いのかを考える。また,タブレットを活用した方が効率的かつ,効果的に情報を整理することが出来るのではないか等と,子供たちは,タブレットをツールの一つとして取捨選択する姿へと変容していく。私は,このような段階へ子供たちを育てていくことが,情報活用能力の目指す具体の姿であると考える。一方,図1右側に示した通り,情報活用能力を育てるために必要な課題は,主に4点ある。本稿では,紙幅の制約上,「ICTスキル指導」と「語彙力の育成」,「思考力の育成」の3点を述べる。
2 ICTスキル指導に向けて
子供たちに情報活用能力を身に付けさせるためには,教師一人一人の情報活用能力の向上は必須である。教師に必要な活用スキルを表1に整理する。
表1 教師に必要な活用スキルの6項目
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① 大型提示装置を活用しよう ・カメラ機能を活用して資料やノートを大型提示装置に映す ・Apple TV等を活用してタブレット画面を大型提示装置に映す
② 学習用アプリを活用しよう ・デジタル教科書やNHK for School等のデジタル教材を活用する ・ドリルソフト等の個別学習用アプリを活用する
③ 授業支援ソフトを活用しよう ・授業支援ソフトを活用してタブレットに入力した児童生徒の意見を大型提示装置に映す ・授業支援ソフトを活用して資料の配布や回収をする
④ 協働学習を授業の中に取り入れよう ・小型のホワイトボードを活用した授業(アナログ)から,タブレットを活用した授業(デジタル)へ切り替える
⑤ デジタルを活用する場面と黒板を活用する場面を意識しよう(例:黒板の左側はスクリーン投影,右側は書くスペース)
⑥ ビデオ会議アプリを活用しよう ・家庭学習や現職研修会等で活用(練習)する |
表1に示した6項目の内,一人一人が出来そうなスキルを少しずつ増やしていくことで,情報活用能力を向上させる姿を期待したい。
3 語彙力の育成に向けて
情報活用能力を向上させていくと,大人も子供も,「ここを見てください」,「その理由は,そこに書いてある通りです」等,「こそあど」言葉が増えていく可能性がある。特に,話す・書く場面では,各教科で身に付けた言葉を用いて表現させる機会を大切にする必要がある。このような語彙力の育成は,確かな情報活用能力を育てることへ直結する。
4 思考力の育成に向けて
写真1 思考の言葉を掲示したポスター(小学校1年生)
写真1は,愛知県内の小学校で進めている取り組みの一つである。情報活用能力の育成には,先述の語彙力と共に,言葉と言葉をつなぐ言葉(以下,思考の言葉)が,相手に分かりやすく伝える上で必要である。各学級担任は,授業中,育てたい思考の言葉を使って発言した子供の名前を短冊に記載し,適宜蓄積していく。子供たちは,話すことへの自信をもったり,進んで使おうとする意欲を高めたりする姿へと変容していく。
5 終わりに
GIGAスクール構想がスタートし,タブレットを活用した学級・授業づくりを通じて,情報活用能力の育成が急速に高まっている。各学校においては,GIGAスクールの先を見据えた取り組みとして,本稿で紹介した必要な課題にも着手しつつ,カリキュラム・マネジメントを進めることを期待する。詳細は,拙著2)を参照していただきたい。
参考文献
1)文部科学省,小学校段階におけるプログラミング教育の在り方について(議論の取りまとめ),小学校段階における論理的思考力や創造性,問題解決能力等の育成とプログラミング教育に関する有識者会議,http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/ chousa/shotou/122/attach/1372525.html,平成28年6月16日
2)磯部征尊,必須化!小学校のプログラミング学習,学芸みらい社(2020)
『教育への扉』とは
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